NLTはツーバイフォー工法用製材であるディメンションランバーを小端立て(こばだて)にして積層し、釘や木ねじでランバーどうしを留め付けた構造材でマスティンバーの一種である。北米ではカナダ・バンクーバーに現存する築100年を超える木造ビルですでにNLTが床構面として用いられているが、ここ数年は大規模木造建築物に採用される事例が増えている。その理由としては、一般に流通している製材品と釘や木ねじだけで製作可能であることや、北米の建築基準ではすでに位置付けられているため新たな認定や評定が不要であること、また接着剤を使用していないのでNLTを構成する製材品が再利用可能であることなどが挙げられる。
日本国内におけるNLTの実用化に向けて、2017年度からカナダ林産業審議会と一般社団法人日本ツーバイフォー建築協会が共同で研究開発に取り組み、令和2年度に国土交通大臣認定取得により、日本の大規模木造建築物においてもNLT床版・屋根版を用いた現しの設計が可能となったが、より一層の普及拡大を図るためには水平耐力要素の評価も必要である。特に大阪府においては2025年大阪・関西万博を控え、パビリオン等の中大規模施設における木造化、木質化の推進を図っていく絶好の機会があることからNLTの更なる技術開発の促進をする必要がある。
●大阪府木材連合会では公益財団法人日本住宅・木材技術センターの令和4年度中大規模木造建築技術実証事業に採択され、京大五十田教授の指導の下、NLT(ネイル・ラミネイティッド・ティンバー)の耐力壁としての需要開発に取り組んでいる。
この事業は、非住宅・中高層分野の建築物における木造化・木質化に向けて、建築物における実証を通じて、高い普及性が見込まれる新たな技術等の開発や再検証・改善を行うものである。
1/16~19 埼玉県草加市にある一般財団法人建材試験センターにてNLTの試験体2種類の面内せん断試験を実施し、耐力壁として利用できる強度があることを確認した。
1つ目はNLTの試験体 高さ5m、幅2m、奥行140mm。杉の2×6材を使用し、CN釘で接合している。壁倍率の速報値3.4が計測された。
もう1つのNLTは柱(4層)2本の間に間柱(3層)が3本入り、それに構造用合板をつけた「面材あり」の仕様とし、壁倍率の速報値3・6が計測された。